Number_iは過去を背負って、現在を紡いで、未来へ向かう――最新作『GOD_i』全曲解説、6つのメッセージを解く

Number_iが、5月19日に2ndシングル『GOD_i』をリリースした。
平野紫耀による「BON」、神宮寺勇太による「INZM」に続き、今作の表題曲「GOD_i」は岸優太がプロデュース。「HIRAKEGOMA」を除く4つのカップリング曲についても、各メンバーがプロデュースをしたことが明かされている。
表題曲の「GOD_i」には〈振り出しに戻ってる〉〈Every Year重ねる〉という歌詞があり、MVには“逆再生”の演出が取り入れられている。“逆再生”はデビュー曲の「GOAT」のMVでも見られるように、Number_iの作品にはたびたび“時間”を重要視するようなところがある。それは3人が〈20代も終盤〉というなかで、さまざまな経験をして感じてきたことがダイレクトに反映されている証かもしれない。
過去を背負って、現在を紡いで、未来へ向かう。Number_iはずっと、そういうことを歌ってきた。そして今、届けられた最新シングル『GOD_i』。本稿では、シングルに収録された全6曲についてそれぞれ解説していく。
GOD_i
1月27日に配信リリースされた岸プロデュースの表題曲。オルガンやクワイアを取り入れた神聖なサウンドに乗せて、〈願う〉〈祈る〉といった言葉が頻出する、未来を見つめるような歌だ。未来が予測できないことを示すように、この曲の展開は複雑である。焦り、不安、葛藤を抱えた際に、私たちは物事がいいほうへ向かうようにと願う。ただし、願う対象は自分であるべきなのだと、未来は自分次第で決められるのだと、この曲で彼らは歌っているのだろう。グループがデビュー2年目を迎えて初めて発表した作品で、この力強いメッセージを打ち出せたことは、非常に大きいことのように思う。
ロミジュリ
ノイズが走ったように細切れになる〈無理ならここで終わらそう〉の後、「一体どうなったんだ」と想像を掻き立てられるラストが印象的。タイトルの元になっているであろう『ロミオとジュリエット』は悲劇的な終わりを迎えるが、決して同じ結末とも思い切れない約40秒にわたるアウトロが、この曲の余韻に深く浸らせる。憂いを帯びたトラックに乗せて届けられる3人のボーカルはその都度めまぐるしく歌い方が変わり、フレーズにあわせて最適な表現を追求しているような凄みを感じた。物語性のある楽曲で、神宮寺がプロデュースを手掛けている。
i_DOG
表題曲の「GOD_i」を逆さにして「i_DOG」(アイドッグ)と読む平野プロデュース曲は、逆再生した「GOD_i」をサンプリングして制作されている。3人の自由なフロウが散りばめられるなかで、繰り返し登場する〈もうちょっと待った/ステップアップグレードで下級から投げろhate〉というラインが、うなるような歌唱も相まって生々しく胸に迫ってくる。「GOD_i」が未来の自分へ向けた曲だとしたら、逆向きの「i_DOG」は過去に向けた曲、といったところだろうか。ハードな楽曲だが、だからこそ、その裏にどこか危うい脆さや痛みも孕んでいるようである。